相続:後妻はこうして父の財産を喰い尽くした

後妻 vs. 前妻の子ども 実践編

第6話:どんな人でも、遺言書はぜったい残しましょう!

事業(薬局)で得た利益は、自分たち(父と後妻)が好きにすればよい。
その代わり、事業で発生した負債(借金)も、自分たちで返済しろ。
借金だけこちらに押し付けようとするな。
祖父の代からの家にまで手を付けるな!

父の死と借金の事実を知った直後の私の直感的な主張は、この後もずっと続きます。
(補足:後妻は父の薬局の専従者だった)

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前回は、入手した銀行取引明細書の転記作業について書きました。
本当に気が遠くなる、とてつもない作業でした。
一般的には、これらも含め、弁護士に依頼するのでしょうが、こんなにあると費用は天文学的になる一方で、思うような情報を得られない可能性があります。
自分でせっせと転記したからこそ、資料から見えてくるメッセージなのです。
なぜなら、私は父とは他人ではなく、高校卒業までは確かに一緒に暮らしていたので、父の性格や趣味や好みや嫌いなモノなど、よく分かっているので。
弁護士はそういったプライベートな立ち入った情報までは知らないから、せっかく得た情報でも大切なメッセージを見落としてしまいそうですね。

 

さて、銀行取引明細書の分析の前に、他にも実施したことを紹介します。

 

① 融資契約書の入手

事の始まりは、個人事業主なのに2000万円近い残債があると聞いて驚愕から。
死亡時点で2000万円ということは、ピーク時には4000万円ぐらい借りていたのか?
とんでもない金額だ。2行あったようだが、貸す方も貸す方だよね。

まずは両行に電話で状況を確認。最後の契約はいつだったか聞くと、平成30年だと。通常5年返済だから、それなら昨年とっくに返済が終っているはずではないか?と問い詰めたら、担当者はゴニョゴニョ…口ごもる。
とにかく、電話で議論しても話にならないので、融資契約書のコピーを送ってもらうことに。(その際も、法定相続人を証明する一連の書類(戸籍謄本、印鑑証明など)は必要です)

入手した資料を見て、さらに驚き!
平成30年、令和1年に借り替えの新規契約を行っているが、令和2年に経営状況悪化が原因で返済が厳しくなったようで、それ以降、毎年、月々の返済金額を緩和させる「変更契約」を締結している。
もっと驚いたのは、令和4年と令和5年の変更契約書とその署名。
父は、令和4年あたりから認知症になっていたと後妻司法書士から聞いていたが、認知症の人を相手に融資契約ができることに驚き
そして父の署名について、平成30年の原契約では見覚えのある大きく堂々とした署名を書いているが、令和4年の署名はおよそ父の文字とは思えない小さく自信のない幼稚園児以下の文字、令和5年に至っては左手で書いたのかと思うような文字。中には後妻が代筆をしているものもあった。この父の署名を見た時、さすがに胸が締め付けられ、この時はじめて涙が溢れてきました。

認知症で判断能力を失い、病床に臥しているいるところに、後妻と銀行員が押し寄せて契約書にサインをさせていたのかと思うと、怒りがこみあげ、どうしても許せなくなり、何が何でも真相を究明して後妻を断罪してやる、という気持ちになったのです。

この時、私の本気のスイッチが入りました。

 

そもそも、融資は薬局事業で借りたお金なんだから、薬局を運営していた父と後妻が返済すべきですよね。これは、私の周囲の友人知人(ほとんどが経営者)の誰に聞いても同じ意見。
借りて入手したお金は自分(後妻)のもの、返すのは法定相続人(私たち)って、そんな話が通用するか?
借りた金は、自分たちで返してから、相続の土俵に上がって来い!

私は最初からそう言っていたのです。

 

融資残債については、また後日、関連する話の時に続けます。

 

② 遺言書の有無確認

銀行に口座有無を問合せる時に、必ず聞かれたのが遺言書の有無でした。
いちおう、後妻司法書士から「遺言書は無かった」と聞いていたが、事を進めるうちに、後妻側の発言が何もかも信用できなくなり、自分で確かめることに

正式な遺言書(公正証書遺言)は、近所の公証役場で確認してもらいました。結果は「無し」。

さらに、自筆証書遺言書保管制度(※)というものが令和2年(2020年)から始まったようで、固定資産台帳閲覧や相続一覧図の手続きで法務局へ行ったついでに、こちらも確認をしてもらいました。確認手数料は800円。結果は「無し」。

自筆証書遺言書保管制度 ←詳しくは法務局のサイトで

公証役場で管理してくれる正式な遺言書は手続きや書式がけっこう厳密なので作成が大変そうですが、自筆証書遺言は自分(遺言者)が、遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして、押印をする遺言書でけっこう簡単です。保管料は1件3900円。

これ以外に、自筆で遺言書を作成して自宅で保管していたかもしれないが、後妻に「無い」と言われたら、家宅捜索するわけにもいかず、仮に存在していたとしても、後妻に不利な内容だったら、とっくの昔に破り捨てられているだろうと思いました。

そういう訳で、法的な機関での確認しか私にはできないので、遺言書は無かったと納得することに。

 

この時に思いました。
せめて遺言書を残してくれていれば、ここまで相続が荒れなかっただろうに。
もちろん、遺言書があっても、遺留分の請求権(※第1話参照)があるので、遺言書どおりの分配にはならないけれど、それでも被相続人の意思はかなり尊重されるはずです。

「うちは大した財産もないから遺言書なんて要らない」と言った離婚再婚経験者がいましたが、財産が少ないほど壮絶に揉めるパターンです。

だからこそ、全ての人に言っておきたい。(チコちゃんか?笑)

遺言書は、絶対に書いて、法的機関に管理してもらっておきましょう!!

 

③ 固定資産(不動産)の確認

法務局シリーズその2(その1は上記の自筆遺言書)として、父の自宅不動産の土地・建物登記簿謄本を入手。目的は、抵当権の有無の確認。融資銀行のうち1つがこの不動産に根抵当権がついていると聞いており、他にないかを確認しました。結果は「無し」。

不動産の評価額については、固定資産税評価証明書を見れば分かるが、これは固定資産のある市役所で入手なので、どうせそのうち後妻から提示されると踏んで、後回しにしました。

不動産の評価額は、固定資産税の基礎となる評価額路線価公示価格実際の売価などがあり、どれを選択するかによって金額が変わるので、いちばん揉める要素だそうです。
今回のケースは、後日、後妻弁護士が、思ったとおり固定資産税評価額(いちばん低い金額)を提示してきました。ここで反発しても良いのですが、仮に「では私が不動産をいただきます(買い取ります)」となった場合、低く見積もってくれた金額しか出さなくて良いので、こちらも都合が良い。
後妻は、はじめから父の不動産を売るつもりで、私たちには放棄を促していたから、相続財産を低く見せるために、いちばん低い評価額を出してきたという訳ですね。
そんなの、こちらも想定済みです。

 

④ 法定相続情報一覧図(相続一覧図)の作成・入手

法務局シリーズその3です。
むしろ、これを先にした方が何かと便利。
銀行にせよ、その後の各所での開示請求にせよ、これ(相続一覧図)があれば、わざわざ父や私の戸籍謄本を準備する必要がないのです。もっと早くに作成しておけば良かったのですが、何しろ銀行取引明細書を急いでいたので、後回しにしました。

法務局のホームページに様式と作成例が載っているので、それほど難しくない。お金を払えば司法書士が作ってくれます。
父の出生から死亡までの戸籍謄本と、私の戸籍謄本があれば良いと思っていたら、結婚で父の戸籍から抜けた弟の戸籍謄本も必要だと法務局から連絡があり、慌てて弟に取り寄せてもらいました。法務局に依頼してから2週間ぐらいで出来あがりました。
いろいろ使えるので、初回に少し多めにコピーを出してもらいました。(20部!多すぎた!)

 

まだまだ他の手続きはありますが、長くなるので、今日はここまでにします。

 

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  • 令和6年3月13日:父の死亡日(享年82歳)
  • 令和6年4月30日:父の死亡を知った日
  • 令和6年5月1日:弁護士予約
  • 令和6年5月2日~6日:相続の本5冊入手・読破
  • 令和6年5月8日~20日:弁護士面談4件
  • 令和6年5月8日:後妻司法書士から銀行口座・融資・会計事務所情報入手
  • 令和6年5月9日:顧問税理士に会計書類開示を拒否される
  • 令和6年5月8日~6月13日:融資契約書のコピー請求・入手
  • 令和6年5月8日~7月8日:各金融機関へ口座有無確認、銀行取引明細書・(残高証明書)の入手手続き
  • 令和6年5月23日~7月1日:銀行取引明細書の入手・転記作業
  • 令和6年5月31日:法務局で土地・建物登記簿謄本を入手
  • 令和6年5月31日~6月18日:法務局で相続一覧図申請・入手
  • 令和6年6月4日:公証役場で遺言書の有無確認
  • 令和6年6月11日~6月18日:法務局で自筆遺言書の有無確認の予約・結果入手

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【状況証拠・ツッコミどころ 一覧】

  • 4月30日 後妻が用意した相続財産は、不動産と借金がほぼ同額で、現金ゼロ・預貯金5万円。あまりに出来すぎた数字で、怪しさ満点!
  • 5月9日 顧問税理士が会計書類の開示を拒否、見せられない理由は!?
  • 6月2日・6月13日 認知症(要介護2)の父を相手に、銀行が融資契約をしていたことに驚き!入手した契約書の、無理やり書かされたであろう父の変わり果てた筆跡を見て涙が出た。
  • 7月1日 取引明細書の転記完了、頻繁な入出金に、後妻はATMに住んでいたのか?
  • 7月11日 調査した銀行口座が出そろい、当初、後妻司法書士から聞いていた3行・4口座どころか、8行・19口座が判明!

 

イバラの道を突き進んでいます💦

 

続く