相続:後妻はこうして父の財産を喰い尽くした

後妻 vs. 前妻の子ども 実践編

第20話:会計に強い弁護士

事業(薬局)で得た利益は、自分たち(父と後妻)が好きにすればよい。
その代わり、事業で発生した負債(借金)も、自分たちで返済しろ。
借金だけこちらに押し付けようとするな。
祖父の代からの家にまで手を付けるな!

父の死と借金の事実を知った直後の私の直感的な主張は、この後もずっと続きます。
(補足:後妻は父の薬局の専従者だった)

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前回は、お盆に帰省し、不動産の内見のついでに、税務署と家庭裁判所で重要書類を閲覧した話でした。
8月9日、不動産の内見時に、後妻弁護士へ開示要求していた会計書類を預かることに成功!!
・確定申告、決算書
・総勘定元帳
・請求書ファイル
・領収書ファイル
これらは借りて持ち帰り、約1か月かけて全てをスキャン・写メしました。
後日、内容をすべて確認しながら、「後妻はよくこれら資料を開示したな」と驚き。というのも、経費に計上していけない個人的支出が満載だったので!
その話はまた後日、詳しく書きます。
他に、
・レセプト
・パート従業員のタイムカード
も父の家にありましたが、個人情報だからという理由で持ち出し不可
レセプトは確かに個人情報だが、タイムカードはいいんじゃないの?と思ったが、この時点でかなり疲弊して思考能力や反論能力が低下していたので、弁護士が許可したものだけで引き下がりました。

ただ、タイムカードは目視でしっかりチェック。
父が認知症・要介護2で施設入所や入院をし始めた後、令和4年12月から新たに加わったパート事務員のタイムカードだけが見当たらないのです。
それは、後妻弁護士から財産目録と負債(薬局未払金)情報を送られてきた時から疑問視していたポイントです。
なにしろ、このパート事務員だけ、他のパート薬剤師に比べ、勤務時間が異常に多く、何を根拠にしているか不明だが、ご丁寧に有給まで付けてある。
本人へ振込ならまだ実在性も理解できるが、パート事務員の給料は現金手渡しなので、怪しいことこの上ない!

架空の人物か?

この点は、私以外も税務署や融資の担当者も疑問視していました。
架空計上なら大問題です。
なぜなら、詐欺だから!

 

それでも、これだけの会計書類を入手できたことは奇跡です!
通常、財産を隠していたり、食いつぶしてきた場合は、自分に疚しさがあるから、絶対に公開しない。だからグル税理士は全力で拒否した
それを、易々と公開した後妻は、間違ったことはしていないと思っていたのか、深く考えない単なるバカなのか

 

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帰省先では、預かった資料をざっと見て、次に私が起こした行動は「弁護士探し」!

そうです。
第2話では、本当に弁護士は必要か?と書きましたが、あの時点ではまだ必要なかったということ。なぜなら、膨大な各種資料を集めるのは自力でやった方が費用面でも交渉面でも都合が良かったからです。
今度は状況が違います。
材料(情報)は揃いました。
料理でも洋裁(私の趣味)でもそうですが、準備段階が大変なのです。
料理の場合、材料を入手し、切ったり漬けたり下準備をすれば、あとは一気に調理するだけ。洋裁も同じで、布を調達、型紙を起こし、布を裁断すれば、あとは一気にミシン掛け。
相続も同じで、下準備として多くの情報が必要だったのです。
そして準備は整った。(まだ会計書類の内容確認が必要だけど…)

いよいよ本気で戦うため、後ろ盾が必要だと感じた私は、お盆中ではあるものの、帰省先から弁護士を検索、可能な限り電話、メールでアプローチしました。
さすが都会(東京)の弁護士は違います。
お盆でも営業しているところもあって、すぐに話とアポができ、張り詰めた私の精神に安堵の気持ちを与えてくれました。孤独に戦っていたので、そういう些細な対応でも、実はとても有難かったのです。

 

ここで私が探した弁護士は、ただの弁護士ではありません。
会計に強い弁護士」!

なにしろ、今回の相続での争点は、父の薬局経営とお金の動きにほぼ集約されています。一般的な相続のように、現時点で存在する財産だけを見るのとは訳が違うのです。
だから、私が会計書類を読み解き、集計し、洗い出した疑問点を理解する力をもった弁護士でないと、話が通じないのです。

敵は、後妻と、その背後にいるグル税理士

税理士が財産隠しを指南して会計操作をしたと踏んでいたので、税理士業務そのもの(税務申告、決算書作成)を理解していないと、戦えないのです。

 

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ここでひとつ、税理士には、どうやってなるかご存知ですか?

・まず、税理士試験に通ること、これがいちばん普通。
・次に、科目免除を受けられる大学院で修士課程を終えること。これにより税理士試験5科目中、税法2科目または会計1科目が免除になるようです。
・他に、税務署で23年以上勤務し、指定の研修を修了すれば、無試験で税理士資格を得られます。これは俗にいう「税務署上がりの税理士」です。実力のほどは別として、いちばんのメリットは、税務署上がりの税理士にお願いすれば、税務調査に入られにくい、という点です。(都市伝説ではないと思うが…)
・そして、公認会計士の資格保持者は、登録すれば無試験で税理士業務を行えます。

ここまでは私も知っていました。
知らなかったことは、
弁護士も、登録すれば無試験で税理士業務を行える
こと!!

マジか?それは初耳だ。

公認会計士なら、試験科目に財務会計管理会計、監査、企業法(商法?)、会計学、租税法が必須、選択科目(1つ)に経済学、経営学民法統計学があり、かなりハードルが高い会計分野の専門職なので、税理士業務も兼任できるのは納得です。

一方、弁護士(司法試験)の試験科目は、憲法行政法民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法が必須、選択科目(1つ)は倒産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際関係法。こちらもハードルが高い試験なのは世間で周知のとおりですが、会計・税務関係の科目って、商法と租税法ぐらいしか見当たらない!
それで、弁護士が税理士業務をできるのか?
かなり驚きました!!

 

ついに暴露しますが、実は私も、(アメリカのですが)公認会計士に資格を保有しています。日本の公認会計士も目指しましたが、試験科目が多すぎて挫折。アメリカの試験科目は財務会計原価計算、商法、監査論の4科目だし、日本の簿記1級は持っているので、だから会計が得意なのでした😅

 

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なるほど、たしかに「会計に強い弁護士」をネットで検索すると、税理士登録をしている弁護士も数名ヒット。よほど会計が好きじゃないと、弁護士が税理士業務をするのは、(ジャンルが違いすぎて)大変じゃないだろうかと、余計な心配をしたほどです。

それに対し、弁護士と公認会計士のダブルライセンスの弁護士も数名ヒット。
こちらは、両方とも試験突破が必要な資格なので、会計知識についてはかなり信頼が置けます。
次の問題(フィルター)としては、公認会計士は主に大企業を相手にすることが多く、個人事業主レベルの会計は経験不足な点です。
ブログでも何度か書いたとおり、法人(株式会社など)であれば、こうは易々と後妻の思い通りにはできないが、個人事業主は「やりたい放題」が実現できるのです。
それもあって、個人事業主の杜撰さは、本当に「会計の闇」で抜け穴だらけ
ガラス張りのサラリーマンからすれば、はらわたが煮えくり返るほどの怒りレベルです。

 

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そういう訳で、今度は慎重に弁護士を選びます。
ポイントは、前に挙げた、「会計や税務が分かる人」。
そして、「田舎の事情が理解できる人」。
田舎って…笑える話ですが、田舎は独特の風土・慣習があり、地元の名士や重鎮が幅を利かせていたり、裏金が横行したり、そういうのが平気です。帰省時に会った知人は、「その税理士(後妻のグル税理士)と同一人物か分からないが、ベテラン年配税理士が、税務調査に入った税務署職員を恫喝して追い返したのを聞いたことがある」と。
だからですよね、後妻のグル税理士は、どうやら御年75歳、かなり重鎮のようなので、税務署もむやみに手を付けにくいのでしょう。腰が引けている様子はよく分かったので、ならば私がしっかり証拠をプレゼントしてあげれば、税務署もこれまでの苦い雪辱を果たすことができるでしょう。

 

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ネットで調べて厳選した弁護士に連絡を入れる際に、「既にこれだけの調査をした、一般的なことは把握している」と記載し、参考書類を添付。弁護士も私も、お互い忙しい身なので、無駄な時間はかけたくない。せっかく弁護士を訪問するなら、有意義な時間にしたいのです。
5つの事務所に連絡を入れたうち、1つはレスポンスなし。
帰省先から戻りしだい、他の4つの事務所を順次訪問。
5月はじめの弁護士探しと異なり、私も会計士資格を持っていることを伝えてあったからか、今度は、どの弁護士も好意的です。頭ごなしに「ソク放棄案件」と投げ捨てる人はいませんでした。
あとは、一緒に戦ってくれるかどうか。
後妻が財産を持ち逃げしているのは間違いないが、相続という観点からだと、それを追及できる法律があまりなく、戦いは困難で失敗に終わる可能性が大きい、というのが大方の見解。それは重々承知。
ある程度の出費も覚悟のうえ。
熟慮期間のギリギリまで引き延ばして相手を困らせてやり、気が済んだら最後はサッと放棄して逃げるのが得策ですよ」と言ってくれた弁護士も。それもよく分かる。
それでも戦ってくれると言ってくれた弁護士と、やっと契約にこぎつきました。
私の気持ち(=お金が取りたいのではない、後妻を制裁したい)をよく汲んでくれた弁護士です。

これで孤独な戦いから解放され、ホッとしました。

 

ここからは、まず借りてきた会計書類のコピー作業、そして経費計上内容の確認作業、否認事項の洗い出しです。

それについては、次回以降で詳しく書きます。
面白い事実の満載です。
ぜひご期待ください!!(笑)

 

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  • 令和4年9月ごろ:後妻が父名義の不動産を売却しようとして、司法書士成年後見人申立の依頼
  • 令和5年11月末:後妻が父の成年後見人に承認され、直後に父名義の不動産を売りに出していた
  • 令和6年3月13日:父の死亡日(享年82歳)
  • 令和6年4月30日:父の死亡を知った日
  • 令和6年5月1日:弁護士予約
  • 令和6年5月2日~6日:相続の本5冊入手・読破
  • 令和6年5月8日~20日:弁護士面談4件
  • 令和6年5月8日:後妻司法書士から銀行口座・融資・会計事務所情報入手
  • 令和6年5月9日:顧問税理士に会計書類開示を拒否される
  • 令和6年5月8日~6月13日:融資契約書のコピー請求・入手
  • 令和6年5月8日~7月8日:各金融機関へ口座有無確認、銀行取引明細書・(残高証明書)の入手手続き
  • 令和6年5月20日:知人の不動産会社に父名義の不動産の査定を依頼したところ、既に売りに出されていたことが発覚
  • 令和6年5月23日:後妻の弁護士から最初の通知
  • 令和6年5月23日~7月1日:銀行取引明細書の入手・転記作業
  • 同上期間:転記により浮上した疑問解決のため、生損保、電気、クレジットカード、リースなど、取引の該当する会社へ問合せ&確認作業
  • 令和6年5月31日:法務局で土地・建物登記簿謄本を入手
  • 令和6年5月31日~6月18日:法務局で相続一覧図申請・入手
  • 令和6年6月3日~7月18日:病院・介護施設へカルテ開示請求・入手
  • 令和6年6月4日:公証役場で遺言書の有無確認
  • 令和6年6月11日~6月18日:法務局で自筆遺言書の有無確認の予約・結果入手
  • 令和6年6月6日~8月17日:生損保の契約内容入手、クレジットカード利用履歴明細入手
  • 令和6年6月13日~:融資の銀行1社と情報交換、返済の交渉
  • 令和6年6月19日~7月19日:信用情報開示(JICC、CIC全銀協)と生命保険契約有無の開示請求と結果入手
  • 令和6年6月28日~7月8日:管轄税務署へ情報提供、資料送付
  • 令和6年7月3日:管理薬剤師届出状況を保健所に確認
  • 令和6年7月12日:顧問税理士へ準確定申告の問合せ (電話を切られた)
  • 令和6年7月13日:後妻弁護士から財産目録と決算書・申告書など資料届く
  • 令和6年7月13日~7月24日:決算書・申告書の内容をチェック
  • 令和6年8月9日:父の自宅不動産の内部に立ち入り調査
  • 令和6年8月9日:後妻(弁護士)から会計書類一式を預かる
  • 令和6年8月10日:父が所有していた外車ディーラー訪問、車台番号を入手
  • 令和6年8月13日:税務署で過去の税務署類を閲覧
  • 令和6年8月14日:家庭裁判所成年後見人の活動報告を閲覧
  • 令和6年8月13日~22日:「会計に強い弁護士」へ連絡、面談、決定、契約
  • 令和6年9月10日:市役所から介護保険要介護状態区分証明書を入手
  • 令和6年9月18日~20日:薬の卸3社、派遣薬剤師の出向元会社に違法営業の認識有無を確認

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【状況証拠・ツッコミどころ 一覧】

  • 4月30日 後妻が用意した相続財産は、不動産と借金がほぼ同額で、現金ゼロ・預貯金5万円。あまりに出来すぎた数字で、怪しさ満点!
  • 5月9日 顧問税理士が会計書類の開示を拒否、見せられない理由は!?
  • 5月31日 後妻は認知症の父の成年後見人になり、自分が使い込んだ銀行融資の返済のため、父名義の不動産を売却しようとしていたことが発覚。しかし、売れる前に父が死亡し、後妻の計画の最初の誤算。
  • 6月2日・6月13日 認知症(要介護2)の父を相手に、銀行が融資契約をしていたことに驚き!入手した契約書の、無理やり書かされたであろう父の変わり果てた筆跡を見て涙が出た。
  • 6月6日 令和2年6月に融資返済の減免をしてもらいながら、同年12月に後妻受取人の生命保険を新規加入していた。
  • 6月17日 銀行取引明細の国保料引落し額から後妻の年収を逆算、専従者給与が毎年600万円も払われていた!
  • 6月28日 取引明細書から推測したキャッシュフローにより、1億2000万円のキャシュが消えている理論値が算出された!
  • 7月1日 取引明細書の転記完了、頻繁な入出金に、後妻はATMに住んでいたのか?
  • 7月1日 同じく、すべての転記が終り、現金売上がどの口座にも入金されていないことが判明!着服か?
  • 7月3日 令和4年8月から、父が認知症で入院・介護施設入居により薬局に復帰していないが、管理薬剤師の変更届は出されておらず、2年間も違法営業を続けていたことが発覚!
  • 7月11日 調査した銀行口座が出そろい、当初、後妻司法書士から聞いていた3行・4口座どころか、8行・19口座が判明!
  • 7月12日 顧問税理士へ準確定申告の問合せをするも、一方的に電話を切られた。これで完璧にグル決定!!
  • 7月13日 後妻弁護士が開示した資料から、後妻が各種債権を自分の口座に振り込ませていたこと、父死亡後に勝手に種々の費用を使っていたこと、仏壇仏具まで処分していたことが判明!パート事務員の実在性、勤務実態に大きな疑問浮上、費用の架空計上の恐れあり!!
    また、
    後妻が使用していた車を父から後妻へ名義変更しているが、贈与の申告はしていないと思われる。死亡から遡って3年以内の取引なので相続財産に計上すべきところ、弁護士が提示した財産目録には未計上。こちらから言わなければ、とぼけるつもりだったのか?
  • 7月23日 決算書のバランスシートから、元入金がずっと多額のマイナスだったことを発見。後妻は薬局に入ったお金(事業用の借入金)を持ち去っていたと思われる!
  • 8月9日 父の自宅不動産の中がぐちゃぐちゃ、既に父のモノ大半が処分されていた!
  • 8月10日 父の車両売却時に詐欺が発生していた!担当営業マンがディーラーの領収書を勝手に使用し、ディーラーを通さず個人取引をしていた。後妻・グル税理士も関与か?
  • 8月13日 専従者給与の変更届により、開業から2年で400万円、5年で600万円に引き上げていた!
  • 8月14日 成年後見人の活動報告では、初回報告では銀行口座を過少に申告、最終報告では現金の動きを報告せず裁判所に対してまで嘘をついていた!
  • 8月17日 クレジットカードの利用履歴により、融資返済減免の変更契約以降も、父が認知症で身動きできなくなってからも、後妻が家族カードで贅沢三昧していたことが判明!
  • 9月20日 薬の卸会社への支払い遅延が続いていたことから、父の薬局は「ブラック薬局リスト」に挙げられていた!

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【後妻の手口 一覧】

  • 被相続人(父)の生前に成年後見人となり、意のままに財産を処分。
  • 経理の立場を利用しお金の管理を他人にさせず、現金を自由に持ち出す。
  • 高額な専従者給与を払わせ、正当な理由として資金移動
  • 生活費はすべて父に出させ、自分はいっさいお金を使わない。
  • 高齢者でも加入できる生命保険に入らせ、保険料支払は父、保険金受取人は自分に指定し、多額の保険金を受領
  • 融資一括返済を免れるため、違法営業を続け、周囲をだまし続けた。
  • 事業用に借りた融資の現金を持ち去って返金しない

 

続く